[完]大人の恋の始め方
芸能人かぁ。
昔、父のお店で見たことがあるけど、キラキラとしていて、近付き難い印象を受けた。
だから、たぶん今回も大丈夫なはず。
「お待たせいたしました。」
店員さんが、あたし達の前にピザやパスタ、サラダ、飲み物を置く。
「うわぁ、美味しそう!」
あたしは、話すのも忘れて、美味しいイタリアンを、頬張った。
うーん、満腹っ!
「幸せそうだな?」
「幸せだよ?優斗さんと、こーんな美味しいイタリアンをご馳走になって。これ以上、どんな幸せがあるの?ってくらい」
優斗さんは、あたしの言葉に、何故か固まってしまう。
どうしたんだろう…?
少しすると、彼にも表情が戻り、ニヤリといつもの笑みを浮かべた。
「お前、ほんと俺の事好きだよな」
はい~~~~?!
なんでそうなった??!!
あたしはただ、今の食べてる時間が最高だって言っただけ、なんだけどッッ
「フッ。冗談だよ。ほら行くぞ」
優斗さんは、悪戯っ子のように笑うと、立ち上がる。
あたしもそれに吊られて立ち上がる。
「もぉ、からかわないでよ~」
そう言いながら彼を見ると、何故かあたしの顔をまじまじと見ている。
………何??
「お前、スコーンが口んとこ付いてる」
呆れたように言う優斗さん。
「えっ?!どこ……っ!!///」
優斗さんは、スコーンを舐めとった。
しかも、ハンパない意地悪な顔で。