硝子の桜-the LastSong-
「…ティア。わたしは、ティア」
名を貰った少女――ティアは神威の手を強く握った。
どうすれば『嬉しい』や『感謝』を伝えられるのだろう。
いっぱいいっぱいなティアに神威が教える。
「こういう時は『ありがとう』だ」
――ありがとう。
口にしてみて、新たな言葉が胸に染み渡る。
月の光。
星の瞬き。
歌う風。
揺れる木々。
全てを受け止める大地。
そして自分を鳥籠から連れ出してくれた神威。
ティアはもう一度、ありがとうと呟いた。