硝子の桜-the LastSong-



***



あれからしばらく。
仲間がいたことを思い出した神威はティアを連れて移動した。
裏庭につくと、紅髪の少年が仁王立ちで神威を待ち構えていた。

額には青筋が浮かんでいる。


「何してたんですか、団長」

「…………………別に」

「『別に』じゃないですよ!僕らが何時間待たされたと思ってるんですか。…揚げ句の果てに、なんですかその後ろの黒マント」


びくっ


神威の背中に隠れていたティアが跳ねる。
被っていたフードを更に深く被った。
ティアの片手が神威の背中にぎゅっと縋り付く。

そんなティアの様子をチラリと見ると、神威は自分の部下である少年を睨みつけた。


「うるせぇな、叩っ斬るぞ」

「ほぉ…逆ギレですか」


バチバチバチッ


二人の間に火花が散る。
上司と部下という関係でありながら二人は犬猿の仲だった。


「さぁ皆さん、自分勝手な団長様もよ・う・や・く戻りましたし帰艦しますよー」

「いちいち厭味な奴だなテメェは…!」
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