硝子の桜-the LastSong-
「ここは…?」
二人の不毛なやり取りの間に気分が落ち着いたティアは辺りを見渡した。
上も横も、空が果てしなく続いている。
「歩けるか?」
「うん。自分の足で立ちたい」
「そうか」
ぺたり。
ヒヤッとする地面に足を着く。
高度が高い筈なのに強風に煽られないのは、透明なバリアが薄く貼ってあるからだった。
「ここはレピアの艦艇。俺達が暮らしている空舟だ」
レピア。
聞いたことのない単語にティアが首を傾げる。
「平たく言うと悪の組しk――ぐふっ!?」
「余計なことは教えるな」
「?」
説明しようとしたアルトの鳩尾に容赦ない鉄拳が飛んだのを見て、ティアは益々首を傾げた。