硝子の桜-the LastSong-
「しんだ?」
「なんだ、死も分からないのか予想以上に無知だな」
哀れな。
言葉とは裏腹に少年の笑顔は消えない。
陶器のように真っ白で滑らかな腕を伸ばし、格子の一つを掴む。
「俺が教えてやろうか」
囁くような言葉と共に格子が破壊され轟音が響いた。
「――!」
びくり、
無表情だった少女の瞳が大きく見開かれた。
ぽっかりと歪に空いた穴から少年が入ってくる。
肩に彼の冷たい体温が触れた。
「今楽にしてやる」
そっと冷温が肩から腕へ、そして足へと下がっていく。
重々しい鎖と足枷を素手で引き契る少年。
少女は思わずその手に触れた。