硝子の桜-the LastSong-




「しんだ?」

「なんだ、死も分からないのか予想以上に無知だな」


哀れな。

言葉とは裏腹に少年の笑顔は消えない。
陶器のように真っ白で滑らかな腕を伸ばし、格子の一つを掴む。


「俺が教えてやろうか」


囁くような言葉と共に格子が破壊され轟音が響いた。


「――!」


びくり、

無表情だった少女の瞳が大きく見開かれた。
ぽっかりと歪に空いた穴から少年が入ってくる。
肩に彼の冷たい体温が触れた。


「今楽にしてやる」


そっと冷温が肩から腕へ、そして足へと下がっていく。

重々しい鎖と足枷を素手で引き契る少年。
少女は思わずその手に触れた。
< 4 / 16 >

この作品をシェア

pagetop