硝子の桜-the LastSong-
「怖いか?」
様子を伺うが、彼女の表情は相変わらず『びっくり』だった。
自分の怪力に恐怖したのかと思っていた少年も驚く。
「すごい、チカラ」
純粋な好奇心を向けられて少年の笑顔が貼付いたものから本当のそれに変わる。
「俺は吸血鬼だからな」
「きゅう…?」
「吸血鬼」
少年は少女に向き直るようにして座り込むと唇から鋭い牙を覗かせた。
「触ってみるか?」
細い手首を掴んで口元に誘導する。
少女の指が牙に触れた。