硝子の桜-the LastSong-
天から降り注ぐ青白い光に照らされた淡い微笑み。
本人は気づいていないだろう、泣きそうにも見えるその笑顔が少年の内を乱した。
――誰かと触れ合うのも初めてなのか
少女の今までを想像する。
無意識のまま彼の両腕は少女を包み込んでいた。
「お前、俺と来るか?」
吸血鬼として生きてきた過去に、長い長い孤独を知っていたからかもしれない。
その言葉は少年の口から自然に滑り出ていた。
「…一緒、に」
「あぁ」
そっと引き離して、少女を見つめる。
真剣な問い掛けに彼女もまたじっと紅い瞳を見つめた。
来るか?
二度目の問い。
ぎこちない動きで、けれど嬉しそうに少女が笑った。