ほっと一息する時に【短編集】
ささいな事
車椅子生活を初めて1年。
ちょうど1年前の雨の日。私は交通事故に遭った。
なんとか一命は取り留めたものの、下半身は全く動かず麻痺してしまった。リハビリをしても回復の余地は無いと言われた。
私は車椅子生活を余儀なくされたのだ。
でも、そんな私にも家族以外に優しくしてくれる人が居る。
「菜乃葉(ナノハ)、散歩へ行こう」
こんなに優しい声で温かな笑みを向けてくれる彼は私の彼氏の谷川葉流斗(ハルト)。
気さくで誰にでも好かれるタイプだ。正直、どうしてこんな人が私の彼氏で居てくれるのか不思議だ。