ほっと一息する時に【短編集】
すると私の頭上から、溜め息が一つ落とされる。
あぁ、なんて重く呆れた溜め息なんだろう。やっぱりこんな私じゃダメなんだ。
そりゃあそうだ。こんな惨めで、重い面倒な女。私だってゴメンだ。
「もう、やめようか」
ほら、やっぱり。
ハルトの中ではずっと前からうんざりしてたんだ。
ハルトはモテる。それなのにこんな私に2年も尽くしてくれた。事故でこんな体になっても1年も。
文句も何も言わず、私に尽くしてくれたのだ。それだけでも感謝しなきゃ。せめて最後くらいは。足枷にならないよう承諾しなきゃ。
分かってる。言わないと。
でも、上手く声が出せない私はどこまで醜いのだろうか。