ほっと一息する時に【短編集】
「俺が彼氏じゃ不満?」
そんなわけない。それはこっちのセリフなのだ。
いきなりで上手く言葉が出ない私にしびれを切らした彼が続けて言う。
「俺は、幸せだけど辛いんだ。いつも本音を言わない。何でも言葉を飲み込む。俺はそれが嫌で辛いんだ」
「そんなこと...」
「そうじゃないか!さっきだって本当は黙り込んでしんどいとか言えば良いのに俯いて顔を隠して...!」
こんな真剣な表情みたことない。
でも、そうさせているのは私。私の、せい。
何故かそれがひどく嬉しくて。
さっきまでウジウジしていたくせにその気持ちは吹き飛んでしまった。
「...何で笑ってるの?」
思わず笑みが零れてしまった。