ほっと一息する時に【短編集】


「ゴホッ……ゴホッ…ゴホッ!」




無常にも季節は移り、春となった。


弟の症状は日に日に悪化するばかりだった。


薬の副作用で弟は何度も嘔吐を繰り返し、あれだけツンツンに生えていた髪は今は剃髪スタイルとなっていた。




「桜、綺麗だね…ゴホゴホッ…」




「あんまり無理して起きないで。……すっかり春だねー」




――弟の病は治らないと聞いていた。
そして余命がもうすぐだとも―――…
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