ほっと一息する時に【短編集】


―――――――――――――――




もう何年もあれから過ぎた。


何故弟は私にあんなことを頼んだのか未だに分からないままだった。



「この詩はな、病で倒れ込んでいる妹が兄を想って外にあるみぞれを取ってきてとお願いする詩だ。」




――――え?




「『あめゆじゆとてちてけんじや』って…」




あめゆじとはあめゆき―みぞれ


ゆとてちてけんじやって言うのは取って来て下さいなという意味らしい。


ちなみにけんじやって言うのは方言だって。
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