甘い満月~Sweet Full Moon~
しばらく沈黙が続く。

いつも沈黙を破れずに、相手の言葉を待つしかできない私は、ズルイ。


「俺行ったほうがいい?」

「・・・・・・・・・・」

「行くわ。元気出せよ?」

立ち上がり、屋上の扉まで歩いていく岡田の後ろ姿を見て、

「行かないで!」

無意識に叫んでいた。

振り返った岡田は、私の顔を見てビックリし、私に駆け寄り、再び腰を下ろした。

岡田の指が私の頬を撫でる。

「お前、泣いてる・・・・」

岡田に言われて初めて、自分が涙を流していた事に気がついた。

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