甘い満月~Sweet Full Moon~
岡田は何も言わずに、また私の隣へ座りなおし、ただ傍にいてくれた。

私は溢れ出す涙を拭う事さえしなかった。

ただただ、涙で歪んでしまった景色を眺めていた。




チャイムがなる。 一時間目終了。


「次もサボるか。次音楽だろ? 意味ねーからさぼるぞ!」

半強制的とも聞こえる言い方だったが、

今の私にはものすごく優しい言葉に聞こえた。

また私の胸元が震えだす。

南からの電話。

「もしもし。」

泣いている事がバレない様に電話にでる。

「リカ!今保健室行ったけどリカ来てないって言われるし、どこいっちゃったの?」

「あ、ごめんね、でも平気だから。次もちょっと休んで、3時間目からはでるから!心配かけてほんとごめん。」

「岡田も一緒?」

南の声のトーンが少し下がった。

「ううん、なんで?」

咄嗟に嘘をついてしまった。

「あいつもリカが出た後すぐに、トイレとか言って出てった後、帰ってこないから、リカ追いかけてったのかなぁと思って・・・」

南は私が嘘ついている事、知ってる。
< 101 / 122 >

この作品をシェア

pagetop