もっと大切にする~再会のキスは突然に~
一礼して足早にその場を通り過ぎようとすると、麗奈さんが思いついたように声を出す。
「そうだわ、式は親族のみなんだけど、披露宴にもしよかったら白川さんも出席してくれたら…」
信じられない言葉に、私の顔は多分泣きそうになっていたみたいで、麗奈さんは驚いたように言葉を止める。
この人の前で、絶対泣かないように奥歯を噛み締める。
「お幸せになって―」
「葵?」
限界いっぱいまで堪えていた涙が、気持ちが、その声にこぼれ落ちそうになる。