もっと大切にする~再会のキスは突然に~
もう少しでやっとおウチってところで、ぐいっと肩を掴まれる。
「ひゃっ―」
その反動で容易に崩れる体勢。
何年ぶりかの全力疾走のせいで弱った足腰がふらつく。
倒れるっ―
思った瞬間、抱きとめられ、降ってくる艶声。
「おまっ、早すぎ。見失うところだった。」
なんで…なんでおっかけてくるの…?
麗奈さん、置いてきたの?
問いかけたい言葉はたくさんあるけれど、その胸の中に抱きとめられたまま、固まってしまう。
そっと、ためらう様に優しく頬に手が触れる。
引き寄せられたことにびっくりして止まってしまった涙の跡を拭うように触れる指先。