もっと大切にする~再会のキスは突然に~
「なに泣いてんの?」
そんな質問に答えられるはずもなくて、俯きながらふるふると首を振る。
道の端っこで、河合クンは壁にもたれて、私はまだ抱きとめられたまま、河合クンの手は腰にまわったまま。
こんなとこ、麗奈さんに見られたらどうするの…?
慌てて両手でぐいぐい河合クンの胸を押すけど、腰に回された手は緩むことはない。
「は、はなして。」
「オレのため?…泣いたの。」
「そんなわけ、ない。」
あの状況で、ほかに適当な理由が思いうかばないから、それだけ言って口をつぐむ。
「離して。」
今度は精一杯冷静な声を装って言い切る。