もっと大切にする~再会のキスは突然に~

「やだよ。久しぶりの葵だし。」

見ると、ニヤリと笑うその顔。

なんか、無性に腹が立ってきた!なんなの?いったい。

麗奈さんと結婚目前で、元カノにも平気で手を出して。

こうやって今も、彼女を置いて、私を追いかけてきて、挙句に節操なく抱きしめる。


いつからそんな適当な人になっちゃったわけ?前は浮気なんてしなかったのに…たぶん。

まさか、私が知らなかっただけ、とか…?私も2股かけられてた…?


「何でムカつくかなぁ?」

苦笑しながら私の顔を覗き込む、その腕はまだ私の腰に回されたまま。

そんなに顔に出てたか、私。

でも、ホントにムカつくから、隠してなんかやらない。

「当たり前でしょ?二股なんてかける人だと思わなかった。」

俯いていた顔をあげ、目の前で可笑しそうに笑うこの人を睨みつける。

「二股?何それ。それ言うなら、オレは、葵にかけられてると思ってたけどな、フタマタ。」

「わたしがっ?しないわよ、二股なんて。」

心外!二股男にそんなこと言われるなんて!

あんなに悲しくて、切なくてこぼれた涙だったのに、もうその跡さえ河合クンに拭い取られていて。



ほんとに…ペースを崩される。
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