もっと大切にする~再会のキスは突然に~
ゆきちゃんは可愛いものが大好物だから、
この甘めの顔と声を持つ医者はすぐにでも食べられちゃいそうでちょっと心配になるけど、
仕事ができればどっちでもいいやと目の前の海鮮丼に意識を集中する。


1ヶ月に1度でるかでないかの海鮮丼はすぐに無くなってしまうから、朝から予約を入れてた私。

その時期の美味しい魚介類を社員食堂で食べられるなんて幸せ!と肉厚のマグロを口に頬張ったところで高木Drと眼が合う。

「お先に失礼しますね。あとで輸液のチャート書きに行きますから。」
少し苦笑しながら席を立ち、急ぎ足で高木Drは食堂を出て行く。


もちろん、お口のなかでマグロと格闘中の私は返事もままならず、口を手で覆いながら会釈で返す。


「高木先生、まだ外来が終わってないんですって。いいなあ、先輩。今日は小児科担当だから、先生ともたくさん話せるじゃないですか~。」とハンバーグ定食を頬張りながらゆきちゃん。
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