もっと大切にする~再会のキスは突然に~
午前の業務が押してしまい30分ほどになってしまった昼食休憩を終え、早歩きで階段を登る。

目指す最上階への階段に足をかけたとき、後ろから名前を呼ばれる。


「葵」


甘くて艶のある低音。耳の奥が性感帯みたいにジンジン疼く。


私、この声知ってる。


時間が止まったように身動きできない私を促すように声が続く。

「久しぶり。」


ようやく振り返った私の眼に映ったのは、見覚えのある切れ長の眼はそのままに学生時代よりもっと自信が見え隠れし堂々と立つ元彼だった。
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