もっと大切にする~再会のキスは突然に~
「じゃあ、俺も可能性あるわけだ。」
ふいに降りてきた声にバカみたいに口を開けてフリーズしてしまう。
「…ないよ。」
「なんで?俺はかわらず、葵に欲情してるけど?」
『 葵は?』 ってその妖艶な眼で私を見つめながら。
最後の診察を待つベビーの産着を持ったままの私の手の甲につうっと指を滑らす。
途端、背筋がぴくんっと震え、また下腹部の奥がジンジンと熱く疼きだす。
ガラス越しには慌しく走り回るスタッフがいるのに、私は河合クンから眼が逸らせなくって。
ベビーの診察を終えた彼が「じゃ、また。」と片手を上げて出て行っても、しばらく微動だにできなくてあの頃を思い出していた。