もっと大切にする~再会のキスは突然に~
その間も河合クンは毎日メールと電話を欠かさず、『もう仕事に行きたくない』と甘える私を宥めて送り出してくれていたし、週末に彼が会いに来てくれることで私の気持ちも保たれていたんだと思う。
でも、業務に少し慣れた頃には夜間業務がシフトに組み込まれるようになり、規則正しく生活する学生の彼とはすれ違うことが多くなってしまったんだ。
「土曜日はこっち来れるんだよな?夕方には俺もバイト入ってるから、昼飯一緒に食べれるようにきてくれよ。」
学生の彼にとっては普通の要求。
めったにない2連休で、せっかくすごすなら午前中から一緒に過ごしたいって、私だって思えてたはずなのに。
新人の私は夜勤でも定時に終わることなんて皆無に等しくて、夜中1時半には終わる仕事が3時、4時になることだって珍しくなかった。
帰ってもシャワーを浴びて髪を乾かしてやっと布団にもぐりこむのは空も白み始める頃で。
それなのに午前中に起きて、車で2時間弱かかってしまう彼の家まで行くことはその時の私にはストレスでしかなかったんだ。