もっと大切にする~再会のキスは突然に~

で、

「あのさ、私は仕事してるわけよ。朝方まで仕事して疲れてるのに午前中になんて行けるわけないよ。私にいつ寝ろっていうの?いいよね、学生は。授業休みたかったら代返頼めばいいんだしさ。私は仕事絶対休めないの、疲れてるの!」
って。


医学部4年生で重要な科目も増えてきて、授業休むことはおろかレポート提出に追われる彼に向かって言ってはいけないことを怒鳴るように突きつけてしまった。

別れを切り出したのは私のほうで。

彼のことを嫌いになったわけじゃなかったけどこんな気持ちで仕事が疎かになるのも嫌だったし、同期の子達はみんな彼が近くにいて惚気話を聞いていると遠距離している私がとても惨めに思えてしまっていたから。

勝手なことを言い出すんだから泣かないって決めてたのに。

「もうダメだと思う。」
って言ったきり言葉を詰まらせて涙を流す私に、電話越しでもすぐ気付いたようで。

「わかった。葵がダメだって思うなら仕方ないよな。」

全然反対もしないで引き止めてもくれなくて。あっさり納得してくれた彼に『彼はもう私のこと好きじゃなかったのかも』なんて少し傷ついたりもした。


4月から始まった遠距離恋愛はなんともあっけなく夏が始まる前には終わってしまってたんだ。
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