もっと大切にする~再会のキスは突然に~
「嫌だよ、俺は。…今なら、葵のことすごく大事にできると思う。」
あまりに唐突な、予想もしなかった言葉に反応できない。
それって、何?現在進行形?私達って別れてもう何年も経ってて、今まで連絡も1回も交わしたことなくって。
なのにこれって、付き合おうって言われてる感じ?
「意味わからない。」
しばらくして、やっと絞り出したのがこれ。
だってどう返したらいいのか混乱してて、思わずうんって頷いてしまいそうだったから。
河合クンはそのままの優しい目で軽くため息をつき、私の右手を取る。
「今からわかればいい。」
そっと包むような熱い手を振りほどくことはできないまま、河合クンは私のマンションの部屋の前まで送ってくれた。
部屋に入る前の私を引き寄せ、頭のてっぺんにチュッとキスを落として帰っていった。