もっと大切にする~再会のキスは突然に~
病棟に戻ると、すぐに女の子の処置に取り掛かる。
お父さんのほうは他のスタッフに任せ、繭子ちゃんと女の子の状態を観察しながら高木先生の指示に従う。
従うと言っても、私と繭子ちゃんはこの病棟に3年はいるので大体準備するものや処置の手順などは体が覚えている。
Drによって多少の差はあるけれど、ここにきて1ヶ月の高木先生にはだいぶ慣れてきていて、ほとんど言葉を交わさなくても処置は進んでいく。
目の前の患者さんに集中していた私は背後から注がれる視線には全く気付いてなかったけれど、その声に一瞬振り返る。
「高木先生、こちら手伝うことはないですか?」