もっと大切にする~再会のキスは突然に~
「ちょっと妬けた。」
いつもよりもっと低くなった声に視線を上げると、眉を下げて苦笑いをする河合クン。
「何が?」
その顔があの頃と全然変わらなくて、無駄に心臓を揺さぶられる。
その動揺を必死に隠していつもの声で問う。
「葵と高木先生。お互い何を求めているか、しようとしているかわかってただろ。。仕事なのに、2人のプライベートもそうなの?って感じさせるくらい通じ合ってたように見えたからさ。…俺が高木に替わりたかった。」
一瞬、思いもよらない名前を出されなんの話かと眉を寄せるけれど、すぐに昼間の仕事を思い出す。
「処置に関してはっ、もうだいぶ高木先生に慣れてきてるから…てか、プライベートは関係ないでしょうが。」
それ言ったら私だって、同じ思いがあるような、ないような…。
でも実際は一緒に仕事して、見つめていたい気も、自分の失敗を見られたくない気もするのが乙女心ってもんでしょ。
アラサーだって持ってますよ、乙女心。心の片隅に。