もっと大切にする~再会のキスは突然に~
「俺、自分が学生卒業して、働くようになって、やっとあん時のお前の気持ちわかったよ。」
片手を首の下に差し込まれ、もう片方で私の髪を梳きながら呟く。
それはきっと、私が別れをきりだした時のことで。
「ごめんな。ちゃんとわかってやれなくて。」
ほんとに申し訳なさそうに眉を下げる河合クンに慌てて手を振る。
「…うん。あの頃は私も情緒不安定だったし、わがままいっぱい言ったと思うし。愛想つかされても仕方なかったって思うよ。」
「愛想つかされたのは俺だろうが。」
憮然とした表情で私の額にコツンと自分の額をくっつける。
さっきまでひとつに繋がって、誰よりも近くにいたのに、思わず近づいた顔に、またドクンッと心臓が踊る。