もっと大切にする~再会のキスは突然に~
「えぇっ?」
いや、もう何もかもにえぇっ?なんですけども。
真っ白になっていた頭にも『綺麗な彼女』と『告白』の単語だけは否応なしに捻じ込まれる。
恐る恐るゆきちゃんの顔を覗き見ると、予想に反して涙は流れていないけれど。でもきゅっと結ばれた唇に、私も『綺麗な彼女』のことを思い、心臓が痛くなる。
「でも、よかったです。本気で好きになっていたら立ち直れませんでしたよ~。同じ職場なんてほんとにシャレになりませんよねっ。」
そうやって笑顔を作るゆきちゃんは、とても本気で好きじゃなかった顔をしていなかったけれど、きっとそのせいで私の様子には気付かなかったことにホッとする。
ごめんね、ゆきちゃん。めいっぱい元気付けてあげたいけど、私はこの胸のチクチクを隠すだけで精一杯なんだ。
夜勤明けよりヒドイ顔をしているだろう私達は言葉少なに更衣室に向かい、着替えをすます。