もっと大切にする~再会のキスは突然に~

一人でいたって悶々としてしまうだけだってわかっていたから、繭子ちゃんのお誘いに嬉しくなる。

繭子ちゃんの顔からは、もうさっきまでのぎこちなさは消えていて。

自分のことをあんまり話したがらず一人で解決しちゃう繭子ちゃんだから、その表情の訳は追及せずに繭子ちゃんの腕を取る。

「あ~そう思ったらお腹空いてきた。今日はちょっと飲んじゃおうかな~。繭子ちゃん明日オフじゃないの?飲んじゃおうよ!」


今日は残業も1時間ほどで、まだまだ外も明るい。

お酒の強くない私達は、翌日がオフじゃないとなかなか飲む気にならない。

若い頃は次の日が日勤だろうが飲んでいたのに、これが歳を取るってコトなのね…。



勝手にしんみりしていると、繭子ちゃんの足が止まる。

必然的に、左腕に腕を絡ませている私も足を止めて繭子ちゃんを見る。

私達はもう病院の裏門を出るところまで歩いてきていて、繭子ちゃんの視線が門の外にあることで、私もふっと同じ方向に視線を移す。
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