もっと大切にする~再会のキスは突然に~

―ドクンッ…

心臓が大きな音をたてて響き、ぎうゅっと掴まれるように締め付けられる。

時間が止まってしまったように、視線はそこから外せなくて、今私がどんな顔しているのかだってわからない。


掴んでいた腕は知らずに強くなってしまったようで、繭子ちゃんが心配そうに私の顔を覗き込む。


「葵…正面からかえろ。」

繭子ちゃんはそういって私の腕をぐいぐい引っ張って、来た道を引き返す。

もう自分の意思どおりには動いてくれない足をもつれる様に運び、繭子ちゃんに連れ出してもらう。
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