もっと大切にする~再会のキスは突然に~
「好き、なんだね。河合先生のこと。」
「わかんない…」
こんなときまで意地を張って肯定できないけど。
繭子ちゃんは鞄から取り出したハンカチを私に差し出し、にっこり微笑む。
「確かに、葵はわかりにくいけどね。でも、よく見てたらわかる。さっき、ゆきちゃんと話してた時から、泣きそうな顔してたもんね。」
わけもわからずそのハンカチを受け取ると、ぽたんっと手の甲に雫が落ちる。
やだ、こんなところで泣くなんて、ありえないっ!
私の意志を無視して流れ出す涙は、ここでは落ちてもいいとわかっていたかのように湧き出てくる。
焦って受け取ったハンカチで目頭を押さえるけれど、堰を切ったように溢れ出す涙は止まることなく次々に流れ出す。
繭子ちゃんは小さい子をあやすように私の頭をそっと引き寄せ自分の肩にのせる。