もっと大切にする~再会のキスは突然に~

「彼女って…?」

とっくに枯渇したと思っていたものが容易に溢れそうになる。

『言ってもいいの?』そんな表情で私を見つめる繭子ちゃんに、微かに頷いて見せると、ため息とともに知らされる。

「従姉妹の話だと、河合先生は5年生になってから医学部のマドンナと付き合っていたみたいって。…そのマドンナってあの人でしょ?」


え……、5年生って、そんな。

聞き間違い?それとも、その従姉妹の覚え違い…?

だって、私より1つ年上の河合クンと麗奈さんは、私が卒業するときには4年生で。

私と河合クンが別れたのは河合クンが5年生になってからで。


「それっ、ほんとに5年生の時?6年生じゃなくて…?」

「ん。5年の夏に、医学部の仲のいいグループでキャンプしたときにはそういう関係だったって覚えてたみたいだから。」


「そんな…。」
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