吸血鬼の思惑
ラインの入った仮面を外し異端の姿を曝す。
金色の髪が水に濡れて顔に張り付くのを気にせず、キースと呼んだ影を睨みつける。
「やはりバレていましたか。スティーブには隠し事はできませんね、少なくとも僕には無理です」
降参だと言わんばかりに両手を挙げ首を振る。
それを見てスティーブと呼ばれた影は眉間に深いシワを寄せた。
スティーブはキースの方へ歩み寄ると、相手の手を握りそのまま思い切り手の甲へ爪をたてた。
痛みによって顔を歪ませるキースを冷めた目で見据え、そのまま力を込めていく。
「あ゙…っ…すみません……これも命令な、ので…くっ…」
言葉を切らしながらも謝罪するキースの額には汗が滲み始めている。