想い逢う
最初の頃とはまた違う気まずさに戸惑っているとき、
この部屋に人が近付いてきた。
なんとなくだけど、気配がする。
私は人一倍そういうのに敏感だから。
嫌でも気付いちゃう。
ガラッ
横開きの扉を開けて中に入ってきたのは
厳つい顔をした男の人。
「あら、お帰りなさい♪」
葵さんが男の人に嬉しそうに言う。
「ああ。」
男の人は優しく。
誰だろう?
「あの…。」
勇気を振り絞って男の人に話しかけた。
「ん?何だ?」
優しい顔のまま男の人は私を見て言った。
「誰ですか?」
私の直球な質問にポカーンとしていたけど
すぐに、
「神崎組の組長の神埼聡だ。」
「組長…」
びっくりした…。
まさか、そんな大物だとは思わなかった。
「お嬢さんは?」
組長さんが優しく私に聞いた。
「瀬伊翠です。」
私は組長さんに軽くお辞儀をした。