想い逢う
どうしていいのか迷っていると、今まで見ていた冬哉さんが、
「親父、お袋、翠が困っているから止めろ。」
と、言ってくれた。
冬哉さんを見ると目が合って微笑んだ。
…………?
何か、顔が暑い。
すると、顔を赤くした葵さんはパッと組長さんから離れた。
「あ、あら。ごめんなさいね、翠ちゃん。」
ふふふ、と誤魔化すように笑う。
大丈夫ですよ、と言おうとしたときに冬哉さんが、よく通る声で言った。
「本当だ。いい歳した大人がいちゃついてんじゃねぇよ。」
その言葉に、葵さんは、
「うるさいわね!私は翠ちゃんに謝ったのよ!」
と、怒鳴った。
それから、2人は楽しそう、とは言いがたいけど友達みたいに口喧嘩を始めた。
それを、組長さんが、しょうがない、というように優しく止めた。