想い逢う

「…お父さん、ごめんなさい。」

小さい部屋の隅で膝を抱えて静かに泣く少女。
少女を殴る男性。
その光景を何もせず見ている女性。
少女は呟く。

「…なん、で…。」


ピピピピー

「…はあ…。」

最悪…。
悪い夢見たなー。
今日はあの人達に会いに行くのに。
顔洗お。

洗面台の前に立った私。
パシャパシャと毎朝聞く音が部屋に響く。
普通なら、家族の声とか聞こえるんだろうなあ。

そんな馬鹿なことを思いながら部屋に戻り着替える。
今日は動きやすい格好。
私はオシャレより動きやすさ重視だからね。

髪を整えると財布を持って家を出る。
向うは昼の安全な池袋へ。
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