【短】おさなじシリーズ★1
これは親友の川端にも思わぬ事態だったらしく、目を丸くしている。
チラッとオレを気遣わしげに見る亜生もちょっと動揺気味。
いや、一番動揺してんの、オレだけど・・・。
三人して固唾を呑んで夢雨を見詰める。
視線を一手に担って夢雨は真っ赤になって俯いて―――
ぐいっ
と弁当をオレに突き出した。
「ぃちご・ぉれのぉれぃに・・・・っ!」
・・・・・え?
オレ・・・?
イチゴオレのお礼にオレに・・・って!
早口言葉やってる場合じゃねー。
にわかに上ずった鼓動を抱えて、夢雨を見詰める。