エロスからタナトスへ
出てきた彼は、「ふあーっ。」と

大きなあくびをした。

「ジョンフン、おやすみ。」

「詩雨子さん。まだ寝ないよ。」

「え?疲れてるんじゃ・・・」

「それとこれとは、別。ん?まだ着替えてないの?」

「あ。」

そう言うと、スルスルと服を脱がされてしまった。

「ジョンフン、私・・・」

「いいの。このままで。」

彼は、私に何を求めているのだろう。

何も考えなければ。

愛してるなんて、思ったりしなければ。

でも、愛してる。

昨日の彼は無言だった。

今日も、無言で私を抱いている。

ねぇ。

話しかけてもいい?

「ジョンフン?」

「んん?」

「あっ。んーっ。」

彼は、行為を中断するどころか、

どんどん私の中へ進んでくる。

言葉なんて、必要ない。

彼のものが、私のものであれば。

そう、心にいいきかせた。
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