エロスからタナトスへ
「ジョンフンさんと、よく話し合ったらどうですか?

 今のままだと、危険です。」

「彼は、私に何を求めているんでしょう?

 私が人に、それも多くの人に愛されているような人に、

 求められること自体、自分で理解できないのです。」

「詩雨子さんは、考え過ぎですよ。

 自分がどうだなんて、客観的にみたって、わからないじゃないですか。

 それより、愛する人が喜ぶことをしたほうが、ずっといい。」

「でも、日本に帰ってもつらいだけです。」

「そうでしょうか?お友達は、あなたに会いたいと思ってるのでは?

 その人たちや、ジョンフンさんのことを思っても、まだ死にたいですか?」

言葉に詰まった。

理詰めで、でも説き伏せるような、ソンミンさんの話しは、

私に考える時間を持たせてくれた。

だけど…

ジョンフンのいない世界にまた、戻ることは、

足がすくむほど、怖かった。

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