エロスからタナトスへ
「ジョンフンですけど。 遅くにすみません。」

「来ると思って待ってたよ。」

「え?あ、はい。おじゃまします。」

「ほんとは、一秒でも早く彼女のところに帰ったほうがいいんだろうけど。」

「でも、気になって。というか、

 ソンミンさんがそこまで、僕たちのことを心配してくれるのが、

 なんだかうれしいっていうか、心強いというか。」

「ああ。ちょっと、人ごととは思えなくて。」

「そういえば、近々日本に行かれるとか。」

「そうなんだ。この間の小説が日本語に翻訳されることになって。」

「この間の小説。あ、あの主人公ってもしかして!」

「そう。ほんの少しだけ実話。」

「日本人の彼女も?」

「ああ。内緒だよ。」

「ええ。そうですか。ソンミンさんも日本の方と。

 で、その後は···」

「見てのとおりさ。」

「小説と同じで、悲しい終わりなんですか。」

「だから、ジョンフンさんには、詩雨子さんにも

 幸せになってほしいと思って。」

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