エロスからタナトスへ
こういうパーティーは、段取りがあるらしく、

カップリングタイムになった。

麻衣子たちも、なんだか本気モードで接してるみたい。

と、私にも声をかけてくる人がいた。

男子のなかでも、見た目のレベルは低い。

でも、おだやかそうな雰囲気は、誰からも好かれそう。

こんな人でも、婚活してるんだな。

私のどこがよくって、こんなまじめそうな人。

「あの。お仕事は?」

「はい。建築設計の仕事をしています。」

と言って、名札を見せた。Sさん。28歳。5歳も年上だ。

「どうしてこのパーティーにいらしたんですか?」

「どうしてかな。なかな出会いがないっていうか。

 彼女いない歴、長くって。ははは。」

笑うとさらに人のよさがでる。

「あなたこそ、こんなところに来なくても。って感じがしますよ。」

「いえ。実は、友達にさそわれて。」

「ああ。正直ですね。」

私ったら、久しぶりに普通の女の子してる。

こんな人に化けの皮が剥がれたら、たいへん。

「すみません。友達のところへ行って来ます。」

「あの。」
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