エロスからタナトスへ
まず、新大久保に行きたいという。

韓流の聖地だとかで、最近ごったかえしているらしい。

「何?この人ごみ。うわさでは聞いてたけど・・・

 おばさんばっかじゃないんだ。」

「そうよ。今じゃ、中学生だってファンが
 
 

いっぱいいるんだよ。」

「ええと、ジョンフンが行ったっていうお店・・・」

美保のほうが、詳しいから、黙って付き合うことにした。

「ここ!わっ、並ばなきゃ入れないけど、いい?」

「いやって、言っても並ぶんでしょ。」

「もう、詩雨子、あいかわらず口悪いんだから。」

しばらく並んでやっと入ることができた。

「あ、ジョンフンのポスターが貼ってある!」

ここに来て、初めてジョンフンとやらを見た。

「ふーん。かっこいいじゃん。」

「よかったー。そう言ってもらえて。

 何たべよっかなー?」

「私、ビビンバ。」

「詩雨子、早っ。」

「それしか知らないから。」

「うーん、たしかにビビンバもいいけど・・・

 私は、スンドゥブチゲにしよ。辛いもの食べなきゃね。」

「なんで?」

「ジョンフンが辛いものが好きだから。」

「美保、かなりビョーキ入ってる?」

「そんなことないよ。ファンなら、普通だよ。」

はー、今まで、芸能人に熱を上げたことないから、

よくわからないけど・・・

美保は、昔から芸能人も好きだったなー。
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