エロスからタナトスへ
付き合ってって…

たまたまいた私に。ほんの気まぐれ?

そうだとしても、どうかなりそう。

なんたって、ジョンフンの運転する車に二人だけで、いるのだ。

これから、何が起こるのか。

なんてことは、重要ではない。

今、この事実が信じ難い。

夢でない証拠に、菜穂さんから電話がかかってきた。

「詩雨子さん?遅いけど、どうかしたの?」

「い、いえ。大丈夫です。」

「なんか、ジョンフン都合で来られないって。

 事務所の人らしいんだけど、説明があって。」

「あ、そうなんですか。」

「でね。お詫びにサイン送るからといって、

 今並んで住所書こうとしてるとこ。

 詩雨子さん、来ないと100人に入れないわよ。」

「ええ。ごめんなさい。残念だけど ・・・

 (何が残念なものか! )

 行けそうにないの…
 
 

 パスポートなくしたみたいで…」

「大変じゃない。大丈夫?」

「はい。相談に乗ってもらえそうなところに、向かっているんです。」

「気をつけてね。」

ふーぅ。口からでまかせというか、

よくそんな事がすらすら言えたものだ。

ジョンフンは、笑っている。

「詩雨子さん。嘘つき!」

だって…言えないよ。ジョンフンと一緒なんて。

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