初恋のキミへ。
―1―

2度目の春

+美桜side+


キミがいなくなってから、2度目の春を迎えた。
私だけが高校生になって、キミは中2のまま。

きれい…。

風が吹いて、桜の木が揺れる。
たくさんの桜が舞った。

私は、空に手をかざした。
こんなことしても、やっぱり届かない…か。
私の手に、一枚の桜が触れる。


「美桜(みお)!!」


後ろから名前を呼ばれた。
この声の主は、私の親友、杜山 葵(とやまあおい)。
感謝してもしきれない、私の大切な人。


「美桜!!何してるの?」

「別になにも~」

葵には、これ以上心配かけたくない。
だから私は、葵に笑いかけた。


「それより、もうすぐ入学式始まっちゃうよ!!」

「え?やばっ走れー!!」


ねぇ、キミは今でも
私を見ててくれていますか?

私、今日から高校生です。


その時、また桜吹雪が起こった…―――














< 4 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop