初恋のキミへ。
+皐月side+



「嘘だよ嘘!!俺が、伊吹のこと嫌いなわけないじゃーん」

「…嘘だ。皐月は、伊吹のこと本当に嫌いでしょ。」


やっぱり美桜にはお見通しか。


「うん、嫌いだよ。すごく。昔はな、自慢だったんだ。誰にも、見破られないぐらいそっくりなこと。でも、いつからだろうな。それがいやになった。個性なんてなにもありゃしない。間違って、告られることだってしばしば」


美桜は俺の話を、ただ静かにうなずきながら、聞いてくれた。




――――きゃあああ♡


――――さすが高橋くん!!うちの中学のエース!!

――――今ゴールを決めたのは皐月くん?伊吹くん?

――――どっちでもいいわ

――――どっちも素敵!!


――――あの…♡伊吹くんタオルを…
――――…俺は皐月だけど

――――ごっごめんなさ…

――――別にいい。慣れてるから


中学の頃、こんなことが何回もあった。

俺と伊吹は違う人間なのに。





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