初恋のキミへ。

「私のね、お父さんとお母さんは、小学生のときに、交通事故で死んだの。私のせいで。」


美桜は顔色を変えずに、淡々と話し始めた。

どうして、お前はそんな大事なことを、冷たい顔で話すんだ…?


「私の10歳の誕生日、雨が降ってる日だった。お父さんとお母さんが、ケーキを買い忘れてて、私がケーキ買ってきてって頼んだんだ―――…」


そして、美桜のお父さんとお母さんが乗ってた車に、雨のせいで、スリップしたトラックが突っ込んできた。



美桜が俺に話してくれたことは、とても衝撃的で、悲しかった。



「あの日、私がケーキなんて頼んだから…!!ケーキなんていらないから、生きて帰ってきて欲しかった…!!」


その時、俺は初めて知った。

本当に、悲しい人は、後悔してる人は、涙を流さない…―――


「おじいちゃんもおばあちゃんもいないから、私は親戚のなかをたらい回しにされた。やっと、高校生になって、独立できたんだ。」



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