初恋のキミへ。
「わかった!!じゃあもうちょっと膝のクッションきかせろ!!」
「クッション?」
「山なりに軌道を描くように投げろ!!」
「山なりね?」
息を大きく吸い、思いっきりボールを投げた。
ガンッ
すごい勢いでボールはとんちんかんなところに当たり、おしいかけらもない様子で、転がって行った。
「もっとおでこの前からかまえろ!!」
ガゴンッ!
「もっと狙えゴラ!!」
ひたすらボールはあちこちに飛び、当たっては落ちる。全然ダメだ。
「ちょっと待った!焦って打っても意味ないし!こういうのはイメージが大事なんだ。自分が上手い奴になったつもりで丸々動きをマネろ!」
上手い人…?
私はボールをかまえ、目を閉じる。
ななせ。
ななせ。
息を吸って集中した私の手からボールが飛んで行った。
ゴールめがけて、まっすぐに。