初恋のキミへ。
「み…見た? 今の…はじめて入っ…」
私がゴールを指して言う。
「やればできるじゃん!」
裕也がそう言ってピースをピッと作った。
その時、たった今までうれしかった気持ちが、急に変わったんだ。
「えっと…ありがとう。あとは、自分でやってみるから、裕也は練習して」
「ああ…うん」
そう言って、裕也は自分の練習を始めた。
フリースローが決まった。
嬉しいけど、なんか…2年前が紛れ込んできて、苦しい。
いつも朝早く一人で練習していた、ななせを思い出していた。
もう世界中どこにもいないななせを、探そうとしてしまう。
裕也って本当にななせに似てる。
バスケをしてる時なんか特に。
ななせのことを思い出して悲しくなる。
それに、一瞬さくらの花びらがひらっと横切ったような気がしたのは、目の錯覚だったのかな…
きれいな、薄いピンクの花びらだった。