美味しい時間
課長にバレないように生唾を飲む。
そ、そんなに飲ませて、どうするつもりなんだろう……。
頭の中で、勝手な妄想がまた始まった。
そこそこ酔わせて抵抗できないようにして押し倒しちゃうとか?
それとも、ベロンベロンに酔わせて記憶なくして無理やりしちゃう……。
いや~、いくら何でも課長がそんなことするわけないよねぇ。
はぁ~と溜息ひとつ。意識を現実に戻すと、課長と目線が重なった。
「あっ……」
そうだった……。目の前に課長がいるっていうのに私ったら……。
重なっていた目線をわざと外し、知らん顔を決めこんだ。
「お、お風呂入りますよね?」
イスから立ち上がり、何食わぬ顔で横を通りすぎようとしたら、グッと手首を掴まれた。心臓が大きく跳ねる。
「ねぇ、何考えてた?」
さっきも聞いた艶っぽい声に、私は動けなくなってしまう。