美味しい時間

部屋にお湯が溜まったのを知らせるアラームが鳴った。

「慶太郎さん、先にどうぞ」

「いいのか?」

「はいっ」

タオルとバスタオルを手渡たす。

「ゆっくり入ってくださいね」

おうっと手を上げてバスルームに消えていった。
その間に、布団の用意を始める。

「ま、まさか一緒にベッドで寝ないよね」

ベッドの横のスペースを片付けると、ロフトから一組の布団を下ろす。
新しいシーツに掛けなおし全体を整えると、そのままそこに寝転んだ。
ゆっくり目を瞑る。大きく深呼吸して気持ちを落ち着かせる。

「私、今日……」

処女じゃなくなるかもしれない。
何となく照れくさくなり、布団に顔をうずめた。
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